七草がゆは年中無病のおまじない。数々の薬効はもちろん、野山での若菜摘みは運動不足の解消にも。七草には昔の人のありがたい知恵が満載だ。
- 七草には造血作用、利尿作用、消化促進作用がある。
松の内が終わる一月七日の朝に七草がゆを食べれば、その年は病気知らずで過ごせると広く信じられている。「七日正月」「七草の祝い」「七日節句」ともいうこの行事、平安時代には宮中儀礼として祝ったし、江戸時代には将軍以下がそろっていただき、無病息災を祈念していた。もとは五穀豊穣を祈る鳥追いの儀式とも中国の人日ともいわれている。人日とは新菜七種を吸い物にして食べ、万病を追い払う風習だ。
いわれだけでなく実際の効力も見逃せない。セリ・ナズナ(ペンペン草)・ゴキョウ・ハンベラ(ハコべ)・ホトケノザ・スズナ(カブ)・スズシロ(ダイコン)の春の七草には造血作用・利尿作用・消化促進作用もある。七草は、前日に野山に出かけて摘んでくるのが習わしだったから、運動不足の解消にもなる。青物の補充。薬効。胃に優しいかゆ。正月の間のさまざまな不摂生を、ここで一挙に好転させようという古人の知恵の賜物だ。
出典:講談社 武光誠編著「開運の手引き 日本のしきたり」