陰から陽への分岐点。恵みの太陽が力を増すことを祝った日。寒さ厳しき折り、ゆず湯に浸かって邪気を祓い、かぼちゃを食べて無病息災。
- めでたいはず。冬至は太陽の誕生日
冬至は二十四節気の一つで、現在の暦でいうと12月22〜23日ごろ。北半球では正午の太陽の高さが最低となり、一年で最も昼が短く、夜が長い日である。この日を境に日照時間が長くなるため、古来中国では陽が兆す「一陽来復」の日といわれる大切な節日だった。日はずれるもののクリスマスも、冬至の日を「陽気回復の日」として祝った風習が関係するといわれている。同様に、諸民族の間には冬至を太陽の誕生日とする考え方があって、暦の起点として天を祀ったり、盛大な冬至祭を行ったりする。
- ゆず湯は邪気を祓い、金銀を融通する。
冬至の日に、ゆずの実を浮かべた湯で入浴すると、向こう一年は無病息災で暮らせるという。ゆず湯は邪気を祓う禊ぎの役目を果たすと同時に、香りを楽しみながら、風邪の予防や皮膚保護の効果もある。ゆずは実がなるまでに長い年月を要することから、風雪に耐えて成功するシンボルとしても珍重されたらしい。
また、冬至を「湯治」、ゆずを「融通」にかけて、ゆず湯に入ることで「融通をきかせて世間を渡る」とか「金銀融通」に通じるといった縁起のいい語呂合わせをする。
- 縁起物のかぼちゃ・こんにゃく・小豆がゆ
冬至にかぼちゃを食べると中風にならないとか、長生きするといわれている。これは、本格化する寒さに備えてカロチンやビタミンが豊富な食品を食べるという生活の知恵でもあろう。こんにゃくはその整腸作用ゆえか、「一年の間にたまった煩悩の砂を洗い流す」と信じられ、僧侶の間で好んで食べられた。また、小豆がゆを食べると疫病にかからないともいわれている。特定の食物を冬至の日に食べる風習は各地によってさまざまで、中国から伝わったものも多い。
出典:講談社 武光誠編著「開運の手引き 日本のしきたり」