藤原実遠

藤原実遠(ふじわらのさねとお)生年不詳〜1062年5月21日(康平5年4月10日)

平安中期の官人。

父清廉は『今昔物語集』に猫恐の大夫とみえ,大和(奈良県)・伊賀国(三重県)などに広く所領を持って経営する私営田領主であったが,その父から伊賀国の所領を譲られて私営田経営を行う。

伊賀国の「猛者」と称され,また諸郡に所領を持ち,郡々に田屋を構え,佃(領主・荘官・地頭らが,賦役労働で耕作させる直接経営田)を宛て作り,国内の人民は皆実遠の従者として服仕したという。

私営田領主の典型として石母田正『中世的世界の形成』により分析されたものである。

しかしこの実遠の経営は行き詰まり,天喜4(1056)年に所領は養子信良に譲られたのち,直接の経営が行われなくなったこともあって,ついに手放されてやがて多くは東大寺の手に入り,その荘園経営により再生されることになる。

出典: 朝日新聞社「日本歴史人物辞典」