夢野久作

夢野久作(ゆめの きゅうさく)1889年(明治22年1月4日)〜1936年(昭和11年3月11日)

小説家。

本名杉山直樹(幼名)、のち泰道と改名。福岡県生。慶応大文科中退。父茂丸は玄洋社系の政界の黒幕。

中学卒業後、近衛歩兵第一連隊に一年志願兵として入隊。除隊後、慶応大文科に進むが、二年足らずで中退し、出家して托鉢僧として関西を放浪。

大正6年還俗、福岡に戻って農場を経営。その後、九州日報社記者などを経て、大正11年頃から童話を書き始める。

15年「新青年」の探偵小説募集に夢野久作の筆名で応募した『あやかしの鼓』が二等入選し、作家生活に踏切る。『瓶詰の地獄』(昭3)『押絵の奇蹟』(昭4)など、意表をつく着想と奔放なスタイルの探偵小説で作家的地位を確立していった。

昭和10年、長年構想をあたためてきた大長篇作『ドグラ・マグラ』を書き上げる。

探偵小説の枠には収まらない、豊富な才能を持つ異色作家で、能関係の随筆・評論、童話などの作品も多くある。上京して来客中に脳溢血で急死。

出典: 明治書院「日本現代文学大辞典」