歳徳神と八将軍

歳徳神と八将軍は方位の吉凶を司る神である。そのなかの歳徳神と大歳神のいる方位がよい方位になる。それ以外の七神のいる方位は災厄をもたらすので避けなければならない。

  • その年によって神様のいる方向が違う

歳徳神は日本で古くから祀られてきた農耕神で「歳神様」とよばれた。鏡餅はもとは正月に歳神様を祭る供えものだった。

その年に神様のいる方向に事を行えば幸運を得ることができるというのは、いくら神様でもすべての方向に目が届かないからである。古代以来、貴族も庶民もその年の歳神様の方位を知り、その方位を目指して仕事・縁談・旅行など行ってきた。

歳神様信仰が盛んになったのは江戸時代である。人々は正月にその年の歳神様のいる方向に向かって歳徳棚を設けて神を祀ったり、恵方詣でをした。恵方詣でとは正月に歳徳神のいる方向にある有力な寺社に参拝することである。

太陽神は木星の精である。この星にいる方向(その年の十二支の方角)に向かって吉事を行えば、必ずうまく事が運ぶとされる。

大将軍以下七神のいる方位は凶になる。たとえば次のようなことが言われている。

大陰神の方向への結婚や出産は差し控えるべきである。

歳刑神の方角では種蒔き・建築など土をいじる行為を行ってはならない。

歳破神の方向への造作・移転は災いを招く。

歳殺神の方向からの嫁迎えや養子取りは避けるべきである。

黄幡神の方角への修造を行うべきではない。豹尾神への結婚は凶である。

出典:講談社 武光誠編著「開運の手引き 日本のしきたり」