お年玉

子供たちの正月のお小遣いと思われがちなお年玉。実は神様から授かる餅というのが起源だ。そこには一年の活力と新しい魂が込められている。

  • お年玉とは神様から賜る新年の魂のこと

現在は新年を祝う贈り物、子どもにあげる金品をさすけれど、お年玉は、実は神様からの賜り物、歳神様にお供え物をし、その代償としていただく新しい魂のことだった。お年玉をあげるということは神様の魂を分け与える神聖な儀式。それによって新年を精いっぱい生きる活力の源ようなものをいただくのだから、お年玉を手にすることは大変に縁起がいいことなのである。

古くは小さな丸餅を家族の数だけ神棚に供え、これを降ろしていただいた。室町時代には年の初めの贈答儀式となり、太刀や酒、菱餅・硯・筆・紙などが、とくに男児には八角系の槌に似たおもちゃ、振々、女児には紅箱・羽子板などが送られるようになった。金銭になったのはずっと遅く、第二次大戦後のことである。

  • お年玉はきちんと包むかポチ袋に入れて渡す

神社などでの餅撒きを見てわかるように餅は白い紙で包まれている。これを「おひねり」という。魂はふわふわと浮遊するものと考えらえてきたから、それが飛び散らないようにと封じ込める意味がある。お年玉も同様、中身は魂だから、白い和紙に包むか、小さな熨斗袋、つまりポチ袋に入れる。贈る相手がわかっていれば右肩に氏名を書く。お金はもちろん新札がいい。

お年玉には、歳神様からまずは家長に下されたものを皆に分け与えるという意味から、目上から目下へのしきたりがある。年長のお年寄りにさしあげるときは「お年玉」ではなく「御祝儀」「新年御挨拶」などと記す。

お年玉を渡すときは心を込めて祝福を。お年玉におかえしは不要だが、魂をいただいたのだから、きちんと礼を述べ、神聖なものにふさわしい使い方を考えよう。

出典:講談社 武光誠編著「開運の手引き 日本のしきたり」