鏡餅は歳神様がここに降り、魂が宿るとされるたいせつな縁起物。延命長寿・一家繁栄のいわれの品に今年の幸運を託して。
- 鏡餅がなければ新年はやってこない
餅は古くから神様のお召し上がりものだといわれています。とりわけ正月の鏡餅は、そこに新しい歳神様が宿るとして、たいせつにされてきました。大小二つ重ねるのは、陰と陽を重ねることで、福徳の重なるのを願ったもの。おめでたいいわれの品々で飾るのは、さらなる福を願ってのこと。床の間に安置するのも、そこが主たる神聖な場所だとされたからです。この鏡餅がなければ、新しい神様はやって来ないとされています。歳神様の魂を祀り、それをいただくことによって家族一人一人の身に祝福を受け、健康と長寿を受けることができるのです。
鏡餅は大国主命が大田田根子命に、元旦、荒ぶる大神に紅白の餅を祀れば幸がくる、と教えたのが始まりといわれています。
鏡餅が丸いのは、神の御霊を象徴しているからで「鏡」の名がついたのは、古代御神体とされた鏡が丸かったからです。かつて、自らがたいせつにしている鏡の前に飾ったから、との説もあります。鏡のような澄んだ心で新年を迎えようとさとす意味もあったようです。
出典:講談社 武光誠編著「開運の手引き 日本のしきたり」