お重に入った華やかで楽しい正月料理、おせち。料理の一つ一つが一年の幸を込めた。たいせつな縁起物だから、腕によりをかけて作りたい。
「御節句」がおせちの語源。本来は五節句の祝儀料理すべてをいったが、それがいつの間にか人日の節句、つまりもっとも重要とされる年の初めの正月料理に限るようになった。
- おせちは歳神様に供える膳、新年のお祝いを祈るお祝いの膳である
その昔は大晦日の夜こそが一年の始まりだったので、この日、日頃から食べる食べ物を丁寧に調理し、きれいに盛りつけて「このようなものを食べ、一年を送らせていただいております」と、まず感謝の心とともに歳神様に捧げました。これがおせち料理の始まりです。
おせちに使われているお重は、四季を表すとされる四段重ね。外が黒、内が朱の漆器が正式です。およそ一の重には口取り、二の重には焼き物、三の重には煮物、与(四)の重には酢の物を詰め合わせます。
- 最近は「おせちセット」が売られているが…
正月元旦の膳は歳神様を迎えるためのもの、神様に一年の家内安全と無病息災を願うお祝いの料理なので、時間が許すのであれば、心を込めて手作りしましょう。そして、一つ一つの料理に込められたいわれを今一度噛みしめて、歳神様から新しい幸をいただきたいですね。
参:講談社 武光誠編著「開運の手引き 日本のしきたり」